【シャツ 2.0】
シャツの寿命は何年ですか?
「シャツの寿命は何年ですか?」
今でも定期的に聞かれる質問です。
ほかにも、「クリーニングと家庭洗濯、どちらがいいですか?」「シャツの下に肌着を着てもいいですか?」「何枚持っていればいいですか?」「黄ばみはどうすれば防げますか?」など、シャツにまつわる質問は意外と昔から変わっていません。
そして、よく耳にするのが、「シャツは消耗品だから、高いものには手を出しにくい」という言葉です。
確かに、シャツは着れば汚れ、洗えば少しずつ傷みます。衿やカフスは擦れ、白い生地はいずれ黄ばんできます。
では、シャツは本当に「消耗品」なのでしょうか。
まず、「シャツの寿命は何年か」という質問に、私は明確な年数では答えられません。
着用頻度、内勤か外勤か、汗の量、洗濯方法、サイズ感。生地によっても耐久性は違い、単純に太い糸だから丈夫とも限りません。
つまり、寿命はシャツだけで決まるのではなく、「どう付き合うか」で大きく変わるのです。
私は仕事でシャツを着る方には、生地のクオリティや色柄を問わず、できれば14枚は持っていてほしいと思っています。クローゼットに余裕があれば春夏14枚、秋冬14枚。上手にローテーションすれば、8年程度着ることも十分に考えられます。
さらにお勧めしたいのが、午前と午後でシャツを着替えることです。
贅沢に聞こえるかもしれませんが、一着に蓄積する汗や皮脂、埃を減らせます。昼に清潔なシャツへ着替えるだけで、気持ちも一度リセットできます。
たったそれだけですが、午後のモチベーションを整えるきっかけになる。清潔感は周囲にも伝わります。とくに目上の方ほど、こうした小さな変化によく気づいています。言葉にはしなくても意外と見ているものです。
形態安定シャツなら鞄にも入れやすいので、まずは夏だけでも試してみてはいかがでしょうか。 ただし、形態安定やノンアイロン性能も永久ではありません。洗濯を重ねれば加工は徐々に変化し、生地によっては毛羽立ちが目立つこともあります。
そして、ここからは少し変わった提案です。 形態安定やイージーケアではない新品のシャツを買ったら、すぐに袖を通したくなると思います。 でも、私はここで一度「着るのを我慢してください」と言いたいのです。 できれば着用前に、普段の家庭洗濯に混ぜて10回ほど洗ってみてください。一日おき程度で構いません。アイロンも必要ありません。そして10回洗ったら、一か月ほどクローゼットで休ませてみる。 科学的に十分な検証をした方法ではないので効果を断定することはできませんが、私の経験では、生地が落ち着き、肌触りもしっとりと変化するように感じます。
私自身、シャツを仕立てる際には、仕入れた生地をそのまま裁断しません。必ず洗い、その後43度前後のお湯に半日以上浸け、乾燥させてから約一か月休ませます。 結果として、10年近く着ていただいているお客様もいらっしゃいます。もちろん衿やカフスには黄ばみや摩耗もありますが、落ち着いた佇まいをまとっていました。それも含めて、長く付き合ったシャツの姿だと思っています。
肌着についてもよく聞かれます。 シャツを大切にしたいのであれば、私はインナーの着用をお勧めします。 「シャツはもともと肌着だから、インナーは着ない」という考え方もあります。しかし当時は、現代のような吸汗速乾性や伸縮性を持った高機能素材はありませんでした。便利なものがあるなら、頼っていいと思います。 ちなみに私は、生地が直接肌に触れる風合いを楽しみたいので着ません。そこは完全に好みです。
サイズも同じです。好みはありますが、極端にタイトなシャツは常に生地へ負荷がかかるため、長持ちという点では不利になります。 そして避け難いのが、衿やカフスの黄ばみです。 その日のうちに手洗いできれば理想ですが、仕事を終え、お酒を飲んで帰ってきてから毎回洗うのは大変です。 そこで夏場に私がしているのが、着用前に市販のアイロン用シワ取りスプレーを、首や手首が触れる内側へ軽く吹きかけることです。皮脂が直接生地へ浸透するのを少しでも抑える目的で、脇部分にも使っています。
こうして考えると、シャツの寿命を延ばす方法は、特別なことばかりではありません。 枚数を持つ。着替える。洗う。休ませる。汚れを残さない。そして、自分のシャツを「見る」。 私は最後の「見る」が、一番大切なのではないかと思っています。 自分が興味を持っているものは、自然とよく見ます。調べたりもします。 少し汚れれば気づく。傷めば気になる。今日は何と合わせようかと考える。袖を通すことにワクワクする。 そういうものは、不思議と長持ちしていないでしょうか。 だから「シャツは消耗品か」と聞かれれば、私は「捉え方次第です」と答えます。
仕事着だから何となく着るのであれば、消耗品になるのかもしれません。でも、仕事着だからこそ楽しんでもいい。 「YAMAGAMI MODELLO」は、ドレスシャツですが、仕事だけでなくチノパンやデニムにも合わせられ、ジャケットを脱いだときにもシャツ一枚でカッコよく見えることを考えて設計しています。
今年の夏も異常なほど暑く、ジャケットを着ていられない日が続きました。 だったら、シャツが主役になればいい。 「ジャケットの下に着るもの」から、「一枚で自分を表現するもの」へ変われば、シャツの選び方も、扱い方も変わってくるはずです。
消耗品から、必要品へ。
YAMAGAMI MODELLO